アウトドアブームも相まって、薪を燃やす焚き火台やアウトドアストーブの記事を目にするようになりましたが、肝心の薪の調達が難しいケースもあるため、薪の代わりとしてペレット燃料を検討する人が増えているようです。
ペレット燃料は、薪と比べて重量あたりの火力が強いこと。安定した火力が期待できること。ホームセンターの店頭に並ぶようになり入手が容易になってきたこと。などの理由からペレットコンロへの注目が高まっています。
ところが、ペレットコンロを購入しようと思っても、どれを購入すればいいのか迷う方も多いことでしょう。
最低でも3万円前後すると同時に、それなりの大きさもあるので、それぞれの使い勝手も気になります。一度購入すれば、長く使うことも想定されるため、自分に合ったペレットコンロを選ぶことが重要です。
この記事では、2021年時点で購入可能な代表的なペレットコンロ5種類について、それぞれのメリットやデメリット、さらに便利な使い方についてご紹介していきます。
目次
ペレットコンロとは
はじめに、ペレットコンロについてご説明いたします。
ペレットを燃料とする燃焼機器は、ペレットボイラー、ペレットストーブ、ペレットコンロなどがありますが、ここで紹介するペレットコンロとは「電気を使わずに屋外での使用を目的とした、ペレットを燃料として使用する燃焼機器」のことです。
屋外で使用することを想定しているため、持ち運びや収納についての使用感も選択時のポイントになります。
ペレットコンロおすすめ5選
「きりんさん(KIRINSAN)」
ペレットコンロというジャンルを確立させた代表的なコンロで、首の長いきりんの姿を模した形が特徴です。グッドロハス賞を受賞しているため、アウトドア雑誌などでよく見かけます。
通常のコンロは、薪や炭など、熱源の上に鉄板やフライパンを乗せて、焼き肉や焼きそばの調理をしますが、このきりんさんは「お腹の所にピザやグラタンなどを入れて上面を焼く」ことができることから、ペレットグリルヒーターとも呼ばれています。
火力が上がってくると、燃焼炉付近で400度近くになりますので、1~2人分の調理なら充分に対応できます。
また、お腹の横に5つの小さな穴があいているので、あたりが暗くなっても炎が流れていくのを楽しめます。
オプションのTEPPANを取り付けることにより、天板を有効に使った調理も可能になります。
「らくださん(RAKUDASAN)」
きりんさんの後継機種で、オーブンとなるお腹部分にフタがついているのが特徴です。
このフタを閉めることによって、熱を逃がさずに調理できるので、調理のレパートリーが広がります。
また、オーブン部分もきりんさんのお腹より少し広くなっているので大きい器も入ります。
使い方は、きりんさんとほぼ同じですが、ペレット燃料の他に薪を燃料として使うことも可能です。
ただし、乾いた薪を投入しないと、温度が上がらず煙ばかりが出てしまいます。
乾いた薪は燃焼速度も速いため、調理する内容と時間によっては、相当量の薪を用意する必要があります。
「おうまさん(OUMASAN)」
外見は、ほぼらくださんと同じですが、薪対応をせずにペレット燃料専用にしたことにより、燃焼効率を高めたため、らくださんに比べて燃焼時のトラブルは少ないです。
開発者である古川正司氏の思い入れもあって、販売店によっては「きりんくんP(KIRINKUN P)」という名前で呼ぶ事もあり、いろいろ生い立ちがややこしいコンロですが、きりんさんの燃焼性能を保ったまま、らくださん同様のオーブン機能が使えるので、本格的な調理が楽しめます。
「コロ」
きりんさん、らくださん、おうまさんシリーズが苦手とする「安定した火力で長時間燃焼」という課題を見事にクリアしたペレットコンロです。
天板も広く、足もしっかりしているので、ダッチオーブンなどの重い調理器具を載せても安心して使えます。
また、2本の足の高さをそれぞれ自由に変えることができるため、地面が斜めの場所でも、天板を平らにして使用することが可能です。
燃焼炉付近の温度も、400度をはるかに超えて500度近くまで上げることも可能なので、火力を要する調理に向いてます。
天板が広いことから、天板の場所によって温度差が生じることを利用して、加熱や保温などの使い分けもできます。
きりんさんシリーズのオーブンプレートは高さが固定ですが、コロは高さを自由に変えられるため、火力や調理するものに応じた高さで焼き具合の調整が可能です。
メリットだらけに見えるコロとはいえ、性能重視があだとなり、収納箱が相当大きいのがネックです。
設計および製造元の蛯名鉄工によると「手軽に持ち運んでの使用は想定していない」とのこと。持ち運んで使用するには、余裕のある大型車か軽トラなどで運搬することになりそうです。
「UFペレットストーブ」
ペレットコンロではありませんが、アウトドア用品メーカー「ユニフレーム」が満を期して発表したアウトドア用ペレットストーブです。
発表間もないため現物も手元になく、具体的な評価はこれからですが、暖を取ることに特化しているとはいえ、天板を使っての簡単な調理はできそうです。
ペレット燃料とは
最後に、ペレットコンロの燃料となるペレット燃料についてご説明いたします。
ペレット燃料は木材を細かく粉砕した「おが粉」を圧縮して固めたもので、直径4~8ミリ、長さ10~50ミリの形状をしています。
この形状のことをペレットと呼ぶので、木質以外のペレットもいろいろあり、全てのペレットが燃料なわけではありません。
一般的なペレット燃料の使用用途は、ペレットストーブやペレットボイラー、そして今回ご説明したペレットコンロなどがありますが、猫やウサギのトイレとして使う方も増えてきました。
ペレットストーブやペレットコンロの燃料として使うペレット燃料は、直径6ミリ、長さ15ミリ程度のものが多く、ペレットストーブ販売店やホームセンター、通販などからお買い求めできます。
日本国内で製造されたものばかりではなく、外国産も流通されていますので、お使いの機種に合わせた燃料をお選びください。
ペレット燃料は大きく分けて3種類あり、それぞれ「ホワイトペレット」「全木(ぜんぼく)ペレット」「バークペレット」と呼ばれています。
「ホワイトペレット」
見た目が、茶色いのや赤っぽいの、白っぽいのなどなど、いろいろな色のペレットがありますが、樹皮の入らない木部だけで作られたペレットをホワイトペレットと呼びます。
国産ペレットでは、広葉樹、杉、ヒノキ、松などがあり、他の2種類に比べて燃焼時のカロリーが高く、焼却灰が少ないとされています。
「全木(ぜんぼく)ペレット」
樹皮ごと粉砕して製造されたペレットのことを全木(ぜんぼく)ペレットと呼びます。
混入する樹皮の量にもよりますが、ホワイトペレットに比べて若干黒っぽい色をしています。
ホワイトペレットに比べて、燃焼時のカロリーが少し低く焼却灰も多いとはいえ、松の全木ペレットは樹皮が入っていてもホワイトペレット並の性能を持ちます。
外国産ペレットで全木ペレットは、あまり見かけません。
「バークペレット」
樹皮のみで製造されたペレットのことをバーク(樹皮)ペレットと呼びます。
燃焼時のカロリーも低く、焼却灰も多いので、燃料として使うには難があり、家畜舎の敷料として使われているようです。
「その他」
上記3種類に分類されない木質ペレット燃料もいくつかあります。
その代表的なのは建築廃材ペレットです。
製造証明が確認できる建築廃材ペレットは大丈夫ですが、ごくまれに外国産の建築廃材ペレットで燃焼機器を傷めたり、焼却灰から有毒物質が検出されるケースがありますので、信頼できる製造元や販売店から購入することをおすすめします。